




・次回講座のご案内 ・長野式研究会 尚古堂便り ├ vol.71〜120 ├ vol.121〜
├ vol.70 ├ vol.69 ├ vol.68 ├ vol.67 ├ vol.66 ├ vol.65 ├ vol.64 ├ vol.63 ├ vol.62 ├ vol.61 ├ vol.60 ├ vol.59 ├ vol.58 ├ vol.57 ├ vol.56 ├ vol.55 ├ vol.54 ├ vol.53 ├ vol.52 ├ vol.51 ├ vol.50 ├ vol.49 ├ vol.48 ├ vol.47 ├ vol.46 ├ vol.45 ├ vol.44 ├ vol.43 ├ vol.42 ├ vol.41 ├ vol.40 ├ vol.39 ├ vol.38 ├ vol.37 ├ vol.36 ├ vol.35 ├ vol.34 ├ vol.33 ├ vol.32 ├ vol.31 ├ vol.30 ├ vol.29 ├ vol.28 ├ vol.27 ├ vol.26 ├ vol.25 ├ vol.24 ├ vol.23 ├ vol.22 ├ vol.21 ├ vol.20 ├ vol.19 ├ vol.18 ├ vol.17 ├ vol.16 ├ vol.15 ├ vol.14 ├ vol.13 ├ vol.12 ├ vol.11 ├ vol.10 ├ vol.9 ├ vol.8 ├ vol.7 ├ vol.6 ├ vol.5 ├ vol.4 ├ vol.3 ├ vol.2 └ vol.1 ・ニュース&アラカルテ ・講座案内 ・講座情報 ・特別講座 ・お取り扱い品

 |
 
●長野式研究会・尚古堂便り |
Vol.33 初めての陣痛付け(1) |
|
不妊治療、ツワリ・逆子などの妊娠中の母体のケア、出産後のケアなどは経験がありますが、初めての‘陣痛付け’の経験をしました。
この患者さんは、最初、冷え性・腰痛・肩こりなどの症状で来院しました。 しかし、問診段階で、生理前緊張症・生理痛・生理不順など、生理に関して非常に重い愁訴があることが分かりました。 また、7年程前からウツ的症状が始まり、カウンセリングなども受け、1年半程前から服用していた薬を、先月からようやく中止できるようになってきたとのことですが、まだ、精神的に健康という状態ではないとのことでした。
精神的な症状は、初回の治療後から改善がみられ、約1ヶ月後、2回目の治療時には、今回の生理は、来るのが分からないほど楽だったと言われた。 (生理前緊張症、生理痛、生理不順など、生理に関する症状は、本当に鍼灸治療が効きます。 生涯にわたる生理の度に服用する薬の総量と、薬のリスク・副作用、それに、薬剤に支払う金額に比べれば、リスクがなく、トータルの金額の圧倒的に廉価な鍼灸治療。 どうして、広がらないのか不思議です) 再婚で、今の夫との間にまだ子供が授からず、どうにか、妊娠したいとの希望を話されました。 (前夫との間に、7歳になる子供がいるので、一子不妊症である) 生理障害のある不妊症の女性の場合、生理を整えると妊娠することがよくあります。 2回の鍼治療の後、体調が良くなってきているので、妊娠する可能性も高いのでは…と思われました。もちろん、不妊の治療も加えました。 初診より約3ヶ月後、7回目の治療予約の前日、どうも妊娠したらしい…との予約キャンセルの電話がありました。 もちろん、妊娠です!!!
 この子も、こんな大木に育つといいナ |
その後、妊娠中は、通常の妊婦さんの治療に、ツワリの治療や、お腹が大きくなっての下垂治療、ムクミの治療など、その時々に発症する症状を改善する治療を加えました。 風邪のときには、薬が服用できないので、こんな時には、まさに鍼灸治療の出番です。 出産2ヶ月前頃には、本人が「妊娠始まって以来調子が良いです」と言われ、途中の鍼灸治療も、経過も良好とのことで、何度か治療を先に延ばす程でした。
出産予定日の2週間前、1週間前と、続けて最後の治療をしましたが、体調も良く、医師からも、赤ちゃんも元気で順調と言われたとのことでした。 ただ、最後の治療の時に(今までの治療もそうだったのですが…)臀部がイマイチ温たまらないのが気にはなっていました。 ‘甘い物’と‘冷え’については、口を酸っぱくして注意していましたので、本人もそれは、良く守っていました。
予定日の日曜日に、出産の連絡がありませんでした。 月曜日・火曜日も全く連絡がありません。 水曜日の夜に、「全く陣痛が無く、出産が遅れています。治療してくれませんか」との電話がありました。
冒頭に書きましたが、不妊治療、ツワリ・逆子などの妊娠中の母体のケア、出産後のケアなどは経験がありますが、‘陣痛付け’は行ったことがありません。 (今までの妊婦さんは、皆さん、無事に予定通り出産されたのですから…) 急きょ、‘K子母さん’に電話です。 ‘K子母さん’が「妊婦さんに、パンを食べているか聞いてちょうだい」とのことで、妊婦さんに、すぐに電話をしました。 妊婦さん曰く、「ホームベーカリーがあり、時間もあるので、毎日、パンを自宅で焼いては食べています。パンは、大好きです」。 妊婦さんですから、毎日、歩いたり、適当な運動や日常生活を送っている他は、パンを焼いては食べていたそうです。 また、すぐに‘K子母さん’に電話です。 「小麦粉がいけないの。身体を冷やします。すぐにパン食を止めて、朝は、ご飯に味噌汁、温野菜。夜は、鍋物(ちょうど、寒い季節です)。自分の体温より低いものは駄目!寿司や生野菜も避けて。もちろん、パスタ類もだめ!」 エーッ?! パン?‘甘い物’と‘冷え’は分かっているけど、‘パン’とはネー!! ‘K子母さん’の小気味よいアドバイスを受け、早速、妊婦さんに連絡です。 パスタやピザも大好きで、よく食べていたそうです。
木曜日は、芹香病院のカンファランスがあり、当院は休院。 ちょうど、金曜日と土曜日にキャンセルの患者さんがいたので、そこに急きょ入っていただき、いよいよ‘陣痛付け’です。 治療室は、室温をガンガンに上げて、私は汗だくでの治療です。 基本的には、いつもの妊婦さんの治療にプラスαです。 ようやく、妊婦さんの臀部も温まり、微量陣痛。 妊婦さんが、「先生、少し痛いです」と言ったときに、「エッ、どこが?」とアホな答えをしてしまいました。 陣痛に決まっています。 今まで、痛みを無くすことを目的としていましたので、痛みを出すために治療をするのは、初めてであり、痛みが出て、何か間違った治療をしたのかと勘違いをしてしまいました。 治療後、少し、出血がありました。
タイムリミットは、月曜日の午前8時半。 それまでに産まれないときには、帝王切開です。 これだけは、どうしても避けたい。 今まで、不妊治療から、妊娠中のケアをしてきたのが無駄になってしまいます。
土曜日も、同様の治療です。 少し強い陣痛が起き、最初、15分間隔ほどだったのが、7〜10分ほどになって、陣痛も強くなってきました。 ただ、陣痛が継続しません。 もし、まだ、産まれないときには、日曜日の午前中も時間を空けておくので、連絡をして下さいと伝えて治療を終了しました。
 雄大な山々のような人生でありますように |
翌、日曜日、電話がありました。 昨晩、治療後、数時間して非常に強い陣痛があったので、病院に行くも、病院に着いたら陣痛が治まってしまい、帰宅。また、数時間して強い陣痛があったので、病院に行くも、また、病院に着いたら陣痛が治まってしまい、帰宅したとのこと。 鍼灸治療と病院へ2回行ったことで、疲れ果ててしまい、今日の鍼灸治療はキャンセルさせて欲しいとのことでした。
出先から帰ると、妊婦さんのお母さんから留守電が入っていました。 無事、午後7時過ぎに出産し、母子共に異常なしとのこと。
翌日、本人から電話で、3588gの男児(前から分かっていましたが)で、通常の半分の量の陣痛促進剤を使用したとのことでした。 「…ウーン、陣痛促進剤を使ったか…」 最悪の帝王切開は免れましたが、半分でも、陣痛促進剤を使用したことは残念でした。 パン食の冷えた身体と、3588gの体重からの陣痛付け。 初めてにしては、上出来か…? でも、パン食は…、意外だった…、などと反省しきりの‘陣痛付け’でした。
|
Copyright(C) wkey 長野式研究会 All rights reserved. |