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若大将の四駆
Vol.1 「大迎」の効果


<症例報告 1> 50歳、女性、職業:ホームページ作成

【主訴】 腰痛。
【現病歴】

約4〜5年前から腰が痛む。生理中は、特に痛む。現在は、起床時に痛みがあるが、日中は気にならない。
不正出血は、5日前より、少量でチョロチョロとしたもの。
約1ヶ月前より、悪夢を見ることが多く、悪夢をみると動悸が激しくなって目が覚める。安定剤を2錠飲むと落ち着く。

【随伴症状】 不正出血。花粉症。動悸。
【既往歴】

16歳…虫垂炎手術。扁桃腺手術。
20〜23歳…うつ症。

【所見】

脉診:「細・沈・遅」。(以下、圧痛弱(+)・圧痛やや強(++)・圧痛強(+++))
(1) 「百会」…ブヨブヨ
(2) 扁桃手術痕圧痛無
(3) 「ダン中」(++)
(4) 左季肋下(++)
(5) 両「帯脉」(+)
(6) 「右大巨」(+++)
(7) 虫垂炎手術痕(++)・硬結有り
(8) 後頭部(「天柱」・「風池」付近)…硬結と圧痛
(9) 右C3(+++)
(10) 左肩甲骨内縁(++)
(11) 「左天宗」(+++)
(12) 両「志室」域(+++)(硬結左>右)
(13) 左骨盤上部(++)硬結有り
(14) T1〜6(++)
(15) 「翳明」周囲(++)

【治療】

1回目:腹診・背候診と行うと、背候診中に動悸が始まる。仰臥位になると更に動悸が強くなる。
たまたま頭上に私がいたため(「百会」のブヨブヨを診ていた)、慌てて「大迎」を指圧。2分程で動悸が収まってくる。
<1>「大迎」・「攅竹」にマグレインを貼付…動悸が収まる。
(3) (4) (6) (7) (8) (9) (10) (15) の圧痛消失。
<2>「第三趾裏横紋」・「手三里」・副腎処置(「復溜」を使用)・「百会」
…15分間置鍼。1寸・0番鍼を使用。
<3>「志室」・「左意舎」…(14) 圧痛消失。10分間置鍼。
<4>右骨盤周囲の硬結へ寸6・4番鍼で3本刺鍼。10分間置鍼。
…「左志室」周囲の硬結・圧痛(+)に改善。
<5>坐位にて、両「肩グウ」に21壮施灸…「左志室」周囲の圧痛消失。硬結はやや残。

【経過】

その後、3回同手順・同処置を行う。2回目から、「大迎」ののマグレインのみでも効果がある。2回目の処置後、生理があり、大量に出血。その後、腰痛が気にならなくなる。
自宅で仕事をしているため、生活が不規則である。
悪夢は見るが、動悸で起きる回数は減ったとのこと。

たまたま、「大迎」を指圧し、効果が予想以上であったことに驚きました(セミナーの次の日でした)。「知ってて良かった「大迎」」という感じです。この患者さんは、生活を改めると、もっと体調が整うのだろうなー…、と思います。生活を改めてもらうのは、なかなか大変ですネ。


【補足:村上】
セミナーの直後の「大迎」の効果!!
このようなことがあるから、「是非、セミナーに参加してみてください!!!」と、老骨に鞭打ち、村上は、声を大にして叫ぶのです。

(3) の後頭部の硬結と圧痛ですが、確か、松本先生が以前のセミナーで、「イ・ヒ・コン」で悪夢を消失させたとお話ししたことがありました。今回は、「イ・ヒ・コン」ではないですが、ここの所見を減少させることが、悪夢だけではなく、悪夢を生じさせるような状況を改善させるのかも知れません。長野先生は、夢は‘肝’に関係があると言われました。

(9) 右C3(+++)ですものネ。生理血も多く、‘肝’が変調を来していることは明らかです。「大迎」・「攅竹」で圧痛を消失させていますが、この経穴は、よく頚部の所見を((9) 右C3(+++)も)改善させます。もちろん、頚部の所見を改善させるということは、他の様々な愁訴も改善するということです。「攅竹」は、肝の所見を改善するのにも、よく使用されます。

腹部オ血の「左大巨」の圧痛がありませんが、(14) T1〜6に圧痛がありますので、恐らくT7付近の背部オ血の反応点付近まであったのではなかったかと思われます。特に、「遅脉」の時には、腹部にはオ血反応が無く、背部にオ血反応が出ることがあります。頭部オ血もあり、オ血が生理として出たのではと考えられます。
長野先生は、オ血は、様々な痛みの原因になると言われました。オ血が生理によって排出されると、痛みが軽減することはよくあります。患者さんに、生理に変化がなかったか、尋ねることが必要です。ちょうど、更年期の年齢ですので、生理が滞り易くなったのかも知れません。

虫垂炎と扁桃腺の手術をしています。(それも、同じ歳の時に)
長野先生は、『鍼灸臨床新治療法の探究』P124の《33:慢性扁桃炎と慢性虫垂炎の合併によって起こった諸症状》で、慢性扁桃炎と慢性虫垂炎が重なった症例をいくつかあげていますが、このことが身体に非常に影響を与えます。
(6) 「右大巨」(+++)は、まさに扁桃の反応点です。また、虫垂炎の手術でも非常に反応がよく出る場所です。
(5) 両「帯脉」(+)は、「復溜」でよく改善します。「遅脉」ですし、慢性扁桃炎と慢性虫垂炎が合併すると、「腎虚」になります。今回は、副腎処置で「復溜」を使用することは、‘一石何鳥’もの効果があります。

この患者さんの既往歴に‘うつ症’がありますが、精神的な病には、(14) 付近によく反応が出てきます。特に、「神」や「霊」のつく文字は精神に関係があると松本先生は言われます。(この付近には、「神道」・「神堂」・「霊台」などという経穴がありますからネ)
また、左側に所見が多いですが、‘左は気’というように、‘気’の流れが悪くなっているのかも知れません。(「ダン中」=「気会」にも圧痛があります)京都会場のメインテーマである「左意舎」は、もちろん精神に非常に関係のある経穴です。

今回の松本先生は、「志室」の硬結に治療されていました。
流石、四駆を縦横無尽に走らせる‘若大将’の面目躍如たる治療でした。




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