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長野式研究会


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症例報告

●以鍼伝心 vol.1

「肩グウ」・「築賓」の時代

最近、‘デトックス(解毒)’という言葉が流行しています。
先日も、テレビの「あるある大事典」で取り上げられていましたが、雑誌でもよく目にするようになりました。

私たちの周囲は、排気ガスやハウスダストなどの空気汚染、過剰な食品添加物やサプリメント、薬、石油精製物質、環境ホルモンなど、様々な有害物質に晒されています。便利な文明生活を送るために、これらにドップリと浸ってしまった環境から、もはや逃れることはできません。人体は、内外からのこれらの有害物質に対して、果たして持ちこたえることができるのでしょうか。

松本先生は、著書『Kiiko Matsumoto‘s Clinical Strategies … In The Spirit Of Master Nagano : Vol.1』の中で、「Systemic Detoxification(全身性の解毒)」のタイトルで章の一つを割いている程です。
‘デトックス(解毒)’という言葉が流行する前に、松本先生はすでに解毒の必要性を強調しています。
上記の著書P98〜P99に、その対象となる既往歴などが記載されています。

薬物、化学療法、ホルモン療法、放射線療法を行っている全ての人
抗生物質、手術時の麻酔薬(手術の大小に拘わらず)、過去に服用した薬に関係があるので、必ず問診で確認すること
疲労回復薬の常用者
今までに服用した薬物により、副作用を経験した人
過去に服用した薬、特に、安定剤、鬱剤、降圧剤など
毒素、放射線、環境毒物、生物学的危険物質の被爆体験者
シックハウス、大気汚染、換気が不充分な研究所や病院にいたことがある
食中毒、重金属の経口摂取、全ての旅行に関する病気
中国の漢方薬などを服用した経験のある人には、重金属に汚染された地域で採集されたものがあるので産地を聞くこと
あらゆる肝臓病・腎臓病に罹患した経験のある人
卵管結紮、精管切除を受けた人

上述した内容の人が全て解毒の対象というのではなく、摂取した量や晒された時間、個々の感受性の違いなどにより、毒素がどの位蓄積しているか、解毒の必要性があるかが判断されることはもちろんです。
この著書では、それらの治療法も非常に詳しく述べてあります。
(どうです。素晴らしい著書とは思いませんか。他にもこのようなことが著書全てに亘って述べられています。松本先生は、この著書の中で、長野先生の体系立てられた処置法を、さらに、原因・所見・治療法などに分類し、初心者でも世界のどこの国の人でも、読み易く使い易いようにまとめられています。明日からの臨床にすぐに役立つものばかりです。宣伝しているのか…ですって?長野潔先生は「鍼灸の地位向上」を強く訴えていました。まさに、それに貢献する類い希な著書です。反対されても宣伝もしたくなります。但し、全て英文ですが…。…そのために、皆さんと和訳する講座を行っているのです…。また、宣伝?)
非常に多くの臨床と研究から、これらの対象を見出し、治療に応用している松本先生の素晴らしさと、この処置法を発見された長野潔先生の凄さ。どうです!

長野式・キー子スタイルが素晴らしい!と叫びたくなります。

‘デトックス(解毒)’の治療の中心となるのが、長野式「肩グウ」「築賓」です。
長野先生は、この「肩グウ」「築賓」の治療に‘蕁麻疹処置’と名付けています。 確かに、蕁麻疹などの皮膚疾患のある患者には、必ずと言っていいほど使用する処置法ですが、皮膚疾患はそのバックグラウンドに、血と肝の変動があり、肝=解毒の処置法となります。「築賓」が解毒の経穴であり、腎経でありながら肝にも関係のある経穴です。

五行では、‘皮膚’と言えば、肺経とその表裏の大腸経に関係がありますが、肺経は扁桃に大いに関係があり、「肩グウ」は大腸経の経穴です。 臨床においても、「肩グウ」「築賓」で様々な所見が驚くほど改善することがあります。

‘基礎講座’でモデルとなった参加者にも、「肩グウ」「築賓」の適応者が必ずと言っていいほどおられ、この処置法で所見がサーッと改善するのを見て、改めて長野式治療法・キー子スタイルの素晴らしさを実感し、また、己の毒の蓄積に驚きます。また、背部華陀穴に10数ヵ所の圧痛がある場合に、そのほとんどの圧痛を改善する処置法の一つでもあります。(‘ネット基礎講座’に書きましたように、「背部所見を広く改善するパターン」として、これもパターン化しておくと良いでしょう。所見は、松本先生の著書にある適応者や皮膚疾患のある患者です)
‘実技講座’でも、毎日がコンビニ弁当という参加者が、「肩グウ」「築賓」で多くの所見が一度に改善したことがあります。

この様に、「肩グウ」「築賓」で愁訴が改善する人は、既に全身に毒素がまわり、身体をむしばんでいるのかも知れません。松本先生も、セミナーでは、この「肩グウ」「築賓」をよく使用されます。
これからは、今まで以上に身体の内外がますます有害物質に晒される環境となります。必ず、「肩グウ」「築賓」の使用頻度が増すことになるでしょう。  皆さんも、是非、長野式‘蕁麻疹処置’=‘全身性解毒処置’を臨床で試してください。「肩グウ」の取穴や、「肩グウ」「築賓」の臨床での具体的な使用方法は、松本先生の過去のセミナーのビデオや‘基礎講座’で学んでください。
症例報告をお待ちしています。




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