●両側「大腸兪」と、L5と仙骨の間の「上仙」を結んだ領域を、その頭文字と形状をとり、『大上三角』と呼ぶ。 長野先生は、ここが軟らかいと治りやすいと言われる。通常、「屈伸」などで緩めるが、このように、直接、「上仙」の脇を脊柱に平行に、腸骨に向かって(下方に)繰り返し刺抜し、腰仙関節部を軟らかくすることもある。 ●頚部痛のバックグラウンドの一つに、患者さんが右肺切除をされ、呼吸機能が落ちているためということが考えられる。 三角筋起始部を治療したのは、肺の下葉でヘモグロビンが結びつくので、ここを軟らかくするとその機能を高めることができる。 三角筋起始部(肩甲骨棘外1/3の部分)を、何度か刺抜する。 ●この患者さんの仕事は、恐らくデスクワークと思われる。先生は、治療中に「「天ユウ」は、デスクワークが多い人は固くなり易い」と言われた。もちろん、扁桃の部位なので、重要な場所である。 それに、「風池」や「翳明」のような眼に関する治療もしていることから、机で、いつも書類を読むような仕事なのかも知れない。 「翳明」は、字の如く、‘明るさが翳る’ということから眼疾患に使用される。 また、長野先生は、耳鳴りに非常に多用された。胸鎖乳突筋が固く、筋緊張緩和処置などでは中々緩まないときにも、使用されていた。 ※「翳明」=乳様突起の下端。側臥位になり、枕をはずし、自然に頚をシーツに着けるようにして胸鎖乳突筋に沿うように、乳様突起の下を上方に水平に刺入する。 ●先生は、この患者さんの寝違いの主要なバックグラウンドは、飲み過ぎ・食べ過ぎと言われた。 暴飲暴食→扁桃の弱体化→寝違い…という機序は、寝違いには非常に多いと言われた。 寝違いは、基本的に、過労・ストレス・暴飲暴食がベースにあることが多い。 「胃の気」は、胸鎖乳突筋や消化器に関係があるので、このような暴飲暴食による寝違いには、よく使用される。 |