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長野式研究会



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症例報告

●症例報告 Vol.3


医師も驚く「隠れ鍼治療」

私を傍らで助け支えて下さる方のお一人が、入院し余命宣告まで受けたお母様に、「余命宣告されたのなら駄目もとで治療してみよう…」と医師に隠れて鍼治療をしました。
その治療の経過を折に触れ私に話して下さいましたが、非常に効果があがってきているので、是非、症例報告として皆さんにアピールしたいと頼み、以下の症例報告を送ってきて下さいました。

83歳、女性
【既往症】気管支拡張症、糖尿病、大腸癌 
【所見】腹水で腹診はできない。

2019年7月11日:熱性痙攣にて緊急入院。
門脈圧亢進症との診断。MRIによると門脈肥大、腹水、脾腫がみられる。
これにより、血中アンモニア値が上昇し、意識混濁状態となる。
肝硬変末期様の状態とのこと。肝性脳症。
●7月29日の血中アンモニア数値=96

8月1日:意識は昏迷。
医師よりアンモニアを下げる点滴を通常の数倍使用したが、回復せず。
手の施しようがなく、このままだと2週間程度か、点滴を外せば数日で死亡とのこと。会わせたい人があれば早めに知らせるようにとの指示あり。 

◆翌日2日より鍼治療を開始。腹水が見られるため腹診はできない。
また、腹部には鍼できないので肝門脈うっ血処置(左会陽)、解毒処置(肩?、築賓)。雀啄をし、5分ほど置鍼。

3日:意識状態が少し改善する(声をかけると目を開けるようになる)。

4日~10日:意識が日に日に回復してくる。
口からの食事が少しずつ増えてきた。
しかし、舌の動きが悪く、呑み込みが悪くむせることが多い。
●8月5日の血中アンモニア数値=81
下がってきてはいるものの、肝機能については不安定とのこと。
★医師より『医学的に説明がつかないが、回復してきている。
このままであれば、家に帰れる日もあるかも』
とのこと。

◆11日から胃の気、肝虚処置(右大敦)、肝実処置(右側の復溜・漏谷・少海・?門)などを左会陽、解毒処置と合わせて、一日2回に分けて5分ほど置鍼。
このころから、意識レベルは入院前とほぼ同等になる。
身体動作が改善傾向になり、呑み込みも良くなってくる。
肝のエリアも柔らかくなっている。
●8月20日の血中アンモニア数値=43 (正常値は40〜80)

この時点では(現在も)、鍼治療をしていることは伝えていない。
退院時に話そうと考えている。

お母様は、支えが有れば歩けるようになった。
しかし、この所、譫妄(せんもう)なのか夢と現実の区別が付き難くなっている。
怒りが止められず、大声を出したり興奮する日が多くなっている。
動けるようになってきたので、夜に拘束されるようで、それが原因の一つかとも思う…。
この様に、症例報告は結ばれていました。


頭の中は、どうなっているの?
医学はまだまだ分からないことだらけ…

【附 記(村上)】少しの処置で、医師が驚くほどの効果を挙げています。
最初から、医師との連携で治療が出来れば、更に充分な治療が出来て、効果も更に挙がるのに…と思わずにいられません。
いくら効果を挙げても、鍼灸治療をしていることを医師に言えない雰囲気は、日本独特のものなのでしょうか。
鍼灸の本が、オカルトに分類されていることもあるそうです。
医師が治せなかった症状を松本岐子先生が治したら、患者さんが、その医師の所に行って「あなたが治せなかった症状を、鍼灸治療で治しました」と堂々と言っていくこともあると話されたことがあります。
ここまで行くには、あとどの位かかるのでしょう。
‘忖度’横行の日本では、難しいかナ…?
そして、日本は、医師の力が強すぎます。
原譲先生のように、東西両医学に理解のある医師が増えれば良いなー…と願うのですが…。

肝性脳症には、鍼灸治療が効果有り!との症例の積み重ねができると良いのですが…。
ただ、この治療が直接肝性脳症に効果があったという場合と、患者さん自身にアンモニアを下げる薬の効果を妨げる何かがあり、鍼治療がそこに影響を及ぼしたという場合も考えられます。
もし、この様な場合だったとすると、ここにも大いに研究の余地があるのではと考えます。
そうして、薬の効果を妨げているものを鍼灸治療で改善させることができれば、薬の量も随分減らせるのではと思います。
もちろん、治療は肝臓に対する処置が中心ですから、肝性脳症には、「長野式治療法」の‘肝’治療が効果有り!ということも研究して欲しいと切望します。
日本の鍼灸大学や大学院でこそ、こんな研究をすべきだと思うのですが…。

以前、認知症だった有名女優が、肝疾患が原因で、その治療をしたら改善した…という報道がありました。
‘肝’は五行で怒。
この方も、肝性脳症のために‘怒’?

長野潔先生は、「鍼灸の地位向上には、症例を積み重ねていく以外にはない」とおっしゃっていましたが、個々に身体が違うことを余り考慮に入れない西洋的な研究には、鍼灸の作用機序の研究は馴染まないのでしょうか。
やっぱり、「症例を積み重ねていく以外にはない」のでしょうか。
皆さん、症例を送って下さい!!!!




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