





時々日記 ├ vol.10 ├ vol.9 ├ vol.8 ├ vol.7 ├ vol.6 ├ vol.5 ├ vol.4 ├ vol.3 ├ vol.2 └ vol.1 85cmの魂 ├ vol.3 ├ vol.2 └ vol.1
 |
 

●85cmの魂 vol.3 |
闘病の辛さを、天国の花のベッドの上で癒しているのでしょうか
|
諸事情により、一時、「長野式研究会」の新大阪会場を譲ってしまった後、大阪からわざわざ大宮会場の‘基礎講座’に来られた熱心な若い女性がいました。 大宮会場だけとなってしまいましたので、遠方から来られる方も少なからず居られましたが、まだ、卒業間もない頃で、それほど収入もない中、毎月参加されるのは本当に大変だったと思います。 「遠くから大変ですね。頑張ってください」と声をかけると、「‘長野式治療法’に賭けています」と答えられ、講座が終わって、いくつか持ってきた質問をすると、サーッと帰って行きました。 当時、彼女はリクルートスーツのようなセミフォーマルの服を着ていて、颯爽と帰る後ろ姿は頼もしく、このような若い人が次代の鍼灸を担っていくのだろうナー…と、思っていました。 彼女は、やはり、交通費などの負担が大変だったようで、「関西でも‘基礎講座’をして下さると、助かるのですが…」と言われました。 上述しましたように、新大阪会場を譲ってしまったので、新たに関西に会場を設けても、参加者は少ないと思いましたが、このような若い熱心な鍼灸師を育てることが、故長野潔先生の悲願であった「鍼灸の地位向上」に必要と思い、彼女の一言で、京都会場を開講することにしました。
その後も、彼女は、「長野式治療法」・「キー子スタイル」をほぼ治療に生かせるようになった後には、毎月の‘松本先生の著書を共に学ぶ講座’にも参加されながら、いくつかの他の治療法も学ばれていました。 学ばれたそれぞれの治療法を生かし、自分の治療哲学に沿う治療体系を組み立て、もう少しでその夢が叶うところでした。
昨年9月の‘松本先生の著書を共に学ぶ講座’の終了後、体調が思わしくないとのことで、検査をするので、来月の講座は欠席しますと伝えてきました。 その後、何度かメールがあり、入院したとのことでした。 今年2月頃のメールでは、3月には退院し、講座には参加できないが、講座後にでも、少しの時間、それまでの経過を先生にお話ししたいとの連絡が入りました。 彼女は、なるべく西洋医学に頼らず、自分の学んだ治療法を、試してみたいと考えていました。 その経過や、西洋医学の薬物治療の影響などを話したかったのかと思います。 しかし、3月に会う約束はしましたが、再度、直前に体調不良となり、とうとう会うことができませんでした。
その後は、体調が思わしくないとのことでしたので、彼女のことが心配でしたが、こちらから連絡をすることは控えていました。 6月6日の新大阪会場の‘松本先生の著書を共に学ぶ講座’終了後、彼女の友人が経過報告をしてくれました。 相当、悪化しているようですとのことでしたので、もし、会うことがあれば、様子を知らせて欲しいとお願いしました。 友人が、彼女に「先生が心配してるよ…」とでも伝えてくださったのでしょう。 6月11日に、彼女からメールが届きました。
… 残り時間あと僅かのようですので、最後に先生にはこうしてメールさせていただこうと力を振り絞っています。… … どうぞくれぐれもお身体ご自愛下さいませ。 奥様にもどうぞくれぐれも宜しくお伝え下さいね。… … 本当に本当に有難うございました。 (…は、文を省略しています)
何とも、何とも悲しいメールです。 色々と、彼女の姿が浮かんできます。 2日間、ジィーとこのメールを眺めていました。 そして、彼女に最後のメールを送信しました。
松本先生のセミナーの準備やら事後処理で、ここ何ヶ月か、ほとんど休みが無かったので、23日〜25日まで、久しぶりゆっくり休養してきました。 帰って最初に開いたメールが、彼女が亡くなった…という、友人からの訃報でした。 まだ、40歳位と思います。 ‘佳人薄命’、‘神々の愛でし人’…、それにしても余りにも早すぎる死です。 神は、時として、非常に無情なことをされます。
昨年度の‘プレ実技講座’で、30歳程の男性が参加されました。 まだ、学生で、非常に熱心で前途有望な若者です。 参加者の取穴を見るために、各ベッドを回っていたところ、彼の所見などから頚部に触れたところ、アメ玉ほどの硬結が浮かび上がってきました。 彼に、甲状腺の家族歴があるか、あるいは、今までにノドの違和感が無かったかと尋ねましたが、全く覚えがないと答えました。 その硬結を鏡で見せ、検査を勧めました。 後ほど、彼は甲状腺癌で、退学したとの話しがありました。
若い方の癌が増えています。 現代の生活習慣が根底にあるのでしょうか。 ‘死’は避けられないものですが、若い方の‘死’は、余りにも非情です。
ただただ悲しい、非常に悲しいです。
ご冥福をお祈りいたします。
|
Copyright(C) wkey 長野式研究会 All rights reserved. |