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長野式研究会






時々日記
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●時々日記
vol.1 時々日記 … (1)


出る杭は、打たれ打たれてもっと出る

長野式研究会を主宰し、‘基礎講座’などを持つようになると、色々な団体から講演や原稿等の依頼を受けるようになりました。
長野式治療法を少しでも広めるために、ご希望には出来る限りお応えしようと思い、日程の許す限り出かけています。
しかし、少しずつ長野式治療法が知れ渡ってきますと、誹謗・中傷、面と向かっての皮肉や嫌がらせなどに出会うことも、少なからずあり、「女性の敵は女性…」ではないですが、「鍼灸師の敵は、鍼灸師!」という事を思い知らされてきました。
初めの頃は、「エッ?」というような、我が耳を疑うようなことを言われたり書かれたり、怒りを感じることもありましたが、相手が脅威を感じているからであり、長野式が認められつつある証拠と思い、表題のような気持ちが湧いてきて、それが原動力となりました。
 確か、英国の皇太子だったと思いますが、軍隊に入り、よく殴られたりいじめられたりしたそうです。その悩みを身近な人に打ち明けたところ、「あなたが皇太子だからいじめるのです。あなたが、何でもない普通の人ならば、誰も関心を持たないでしょう」とアドバイスされたそうです。
 ようやく長野式治療法も知られるようになり、そのような事は少なくなりましたが…。
 岐子さんも、ある日本の有名な鍼灸師から、全くいわれのない誹謗中傷を受けています。
 堂々と岐子さんの古典理論にでも論争を挑むならまだしも、鍼灸には関係のないところで、岐子さんの言動を故意に曲解して、攻撃しています。
どこの世界にでもあることと思いますが、残念であり、寂しいことです。
 故長野潔先生も、長野式治療法を体系立てるために、藤田六朗博士や澤田流をはじめ、多くの流派や優れた学説から学ばれました。
 松本先生も、『医道の日本』誌の原稿などでも、‘東洋はり医学会’や時任みち先生など多くの優れた治療法を学び、それを貪欲に吸収し、また、その素晴らしさを原稿に書き、感謝の意を表しています。
 岐子さんは、一介の鍼灸師として、世界で屈指のハーバード大学の講師に招聘されました。
 恐らく、日本では、大きなバックとなる会や博士号などの肩書きがなければ、大学の講師になることはできないでしょう。
 岐子さんは、大学院でも教鞭を執っています。
 招聘されたときに、「自分には博士号はないですが、宜しいですか」と尋ねたら、「No, problem」だったそうです。アメリカの底力を思い知らされます。
 岐子さんに「〜の治療法は、余り効かない」と言うと、「あなたは、その治療法を批判するほど、勉強したのか」と逆に叱られます。
 やはり、その人の器であり、多くを為す人は、人の中傷などしている暇はないのでしょう。
 肩書きやら中傷やら、こんな事をしているから、岐子さんは自分自身を見てくれるアメリカに行ってしまったのでしょう。

 日記の最初に、余り楽しくないこの様な感想を書いたのは、「鍼灸の地位向上」のためには、鍼灸師お互いが、足の引っ張り合いなどしている時ではなく、流派を越えて良い所を認め合っていくべきと強く思うからです。
 様々な治療法が、百花繚乱の如くひしめいているのは、逆に、それだけ、治らない所があるから、あるいは、自分には出来ない部分があるからではないかと思います。
 現在、鍼灸界は、鍼灸師が激増し、また、混合診療の脅威に晒されています。
 折角の鍼灸の素晴らしさも、お互いが足を引っ張り合っているのでは、鍼灸師以外が‘漁夫の利’を得るばかりです。
 謙虚にお互いが学び、優れた鍼灸師のすそ野が広がらないと共倒れになってしまいます。

 ある鍼灸学校で、実技の授業の一環として、毎年、5日間の講座を2回、「長野式治療法」と「キー子スタイル」についてお話ししています。
 その学校では、その学校が中心として教える治療体系があるにも拘わらず、3年生に異なった4つの流派を学ぶ機会を与えています。
 自分の学校の教えが絶対と思わず、卒後の進路の参考にするために、色々な治療法を見ておくことが大切であると考えられているのでしょう。
 自分の教育に自信があるからこそ、できることと思います。
理事長や校長先生をはじめ、上に立つ方の力量、懐の深さを感じます。
 このような鍼灸学校が増えれば、鍼灸の未来は明るいと思います。

金子みすずの詩に、「みんな違ってみんな良い」というような語句がありました。




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