●時々日記

vol.7　時々日記 … （7）

隻眼のネコ 一昨年の暮れも押し詰まった2012年１２月２６日に、突然、隻眼（片眼）のネコが我が家の一員となりました。 患者さんの多くが、現在、ネコを飼っていたり、飼った経験のあるネコ好きで、「先生、ネコは散歩をしなくても良いし、ただ、食事とトイレの世話だけで、手間がかからないし、２〜３日だったら留守にしても大丈夫だし、可愛いヨ−！！」と、ネコを飼うことを随分勧められてきました。 １２月も終わりに近くなった頃に、突然、知人の女性から猫を飼って欲しい！…との連絡がありました。 １歳半で、片眼の猫。その猫の飼い主さんが亡くなり、奥さんは飼いきれないとのこと。 現在、動物病院に預かってもらっているが、もう限界とのこと。 「誰かが飼ってくれないと、保健所行き！　返品（返猫）可。お願い、飼って！！！…」との強引とも、脅迫ともいえるお願いに、一抹の不安を感じながらも、妻と「飼うか…？どうしよう？」とのやりとりがありました。 ‘むすび’が、前の‘ヘイ太’に比べて、マア手のかかること！ 芸は覚えず、食い気のみ。 時には、狂ったように走り回り、飛びかかるは、吠えるは…。 手間のかかる‘むすび’で手一杯のところに猫は辛いかなー…とも。 しかし、私の体調が落ち着かず、家の中を猫が来ても良いように、掃除をしたり物を移動させたりしなければならず、仕事が終わり年末年始の休みにそれらをしながら考えようか…、などと思っていました。 そこへ、上記のように、２６日夕方、突然、「今日、これから連れて行きます」と、有無も言わさぬ電話。 「エエッ？！」 治療を終えてから、翌日の治療室の掃除も後回しに、狭い住居空間を少しでも猫を招き入れる態勢にしようと、てんやわんやの大騒動。 片付けながら、さて、名前は？ 隻眼で思い浮かぶのは、�@ブラック・ジャック、�A伊達政宗、�B丹下左膳（若い方は知らないかも…、でも、中村獅童さん主演の映画が何年か前にあったから知っている人もいるかも…）。 この中から名前を選ぼうとしましたが、ブラック、ジャック、ダテ、政宗では言いにくいのでマサ、ムネ、タンゲ、サゼン…丹下左膳と隻眼が逆だからウゼン…、名前を分解して短くしても、どうもしっくりいきません。 オスばかりを考えていましたが、メスのことは頭にありませんでした。 メスだったら……、そうだ、ブラック・ジャックの恋人（奥さん？）の‘ピノコ’とすぐに決まり…と考えているうちに、ブラック・ジャックに時折出てくる盲目の鍼灸師‘琵琶丸’！！ メスなら‘ピノコ’、オスなら‘ビワ丸’…決まりました！！ 夜やってきたその猫は、２�sに満たない細い貧弱なオス猫。 新しい環境に、少々不安… 連れてきた彼女も、改めて持ってみると「軽い…！？」という（何と無責任な…）。 １歳半と思っていたのが、添えてあった動物病院の記録をみると、どうも４歳近くになっている。 片眼だけかと思っていたら、尿の出が悪く、抗生物質付き。 食事も、特別にマグネシウムをコントロールしている餌きり食べられないとのこと。 これでは、誰も引き取らないのは当然。 しかし、初めての家と人（私）というのに、もう、ゴロンと仰向けに寝て、甘え始めます。 この仕草に、やられてしまいました。 もう、着いたその時から、我が家の一員です。 来たその日から、この姿 翌日、‘むすび’のかかりつけの動物病院に連れて行きました。 獣医さんが、カゴから見える猫を見てビックリ！？ 「村上さんのお宅は、犬ではなかった？？」 獣医さんに事の次第をお話すると、障害のある猫は、生きていく知恵というのでしょうか、非常に甘えるのが上手なのだそうです。 （‘ビワ丸’にしてやられた！！） 飼い主も、そう悪そうにも見えない…？ 先の同居犬の‘むすび’が、見慣れぬちん入猫に、檻の中から猛然と吠えまくっています。 しかし、様々な苦難をくぐり抜けてきたのか、ビワ丸は、知らん顔です。 ‘むすび’が眠っているときには、ソオーッと近くに寄って臭いを嗅いでいます。 生涯飼うことがないと思っていた猫との生活。 猫をかぶっていた‘ビワ丸’が、少しずつ化けの皮を剥いでいきます。 隻眼の障害猫のためでしょうか、‘ビワ丸’の相手をしていると、ふと、色々な事を考えます。 これから、時折、‘ビワ丸’日記をお届けしたいと思います。 他のホームページのサイトにも、時折‘ビワ丸’が顔を出すかも知れません。 宜しくお願いいたします。