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長野式研究会




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ネット講座

●基礎講座からの便り


‘基礎講座’を生かそう …ラインで診る…

長野式治療法を取り入れて臨床をされている方々から、最初の頃よく受ける質問が、「長野式を取り入れたら、処置法が多くて時間がかかる」というものです。

腹部所見で、ネーブルの4時・8時、「左大巨」、「左天枢」、「右関門」、「右期門」に圧痛がある場合に、‘ネーブルの4時・・8時’のために副腎処置、「左大巨」のためにオ血処置、「左天枢」のために肝門脈うっ血処置(「左会陽」)、「右関門」のために「上太白」、「右期門」のために肝実処置…とそれぞれの所見に1対1対応のように処置法を行っていくと、相当数の処置法を行わなければならなくなり、当然時間もかかります。

‘基礎講座’を修了された方は、これが全て‘オ血ライン’に入る所見とお分かりかと思いますが、所見を個々に捉えるのではなく、このように、先ずは全体の所見を大きく診ることです。
この見方に慣れるために、最初の頃は、‘実技講座’で行うように、全身の図に所見を書き込んでいくことをお薦めします。
全身を俯瞰するように眺めると、慣れてくるに従って、‘オ血ライン’がハッキリと感じられるようになります。もし、これらの所見の全てのバックグラウンドがオ血である場合には、「左中封」1穴で、サーッと全ての所見が改善していきます。また、全てのバックグラウンドがオ血で無い場合には、オ血処置をすると、オ血に関係した所見だけが改善していきます。それから、残った所見に対して、改めてそれらの所見が改善するような処置法を考えていきます。そうすれば、処置法も少なく、治療時間も短くなります。

松本先生も、セミナーでは、一つの処置法を行う度に、その処置法のターゲットとしていた所見ばかりでなく、それに関連していると思われる所見のチェックを必ずしています。
関連しているかと思われる所見は、やはり、経験に依ることが多いかと思われますが、最初は、1つの処置を行う度に、一見関係なさそうと思える所見まで出来るだけ多くチェックしていくと良いかと思います。一つの処置法でいくつもの所見が改善すればするほど、その処置法はバックグラウンドに近い処置法であり、本治法となり、患者さんにとって重要性の高い処置法となるでしょう。そして、そのような処置ほど、メンケンも少なく、早く治ることが多いです。

‘オ血ライン’は臨床でよく出会うパターンの一つですが、その他にも、‘基礎講座’でお話ししたように、‘飲んべえライン’、‘甘党ライン’、‘婦人科ライン’など、特徴的なものを素早くとらえる感覚磨くことが必要となります。また、自らも、よく診るようなグループになって表れる所見は、パターンとして、頭の中に登録していくと良いでしょう。
逆に、ある症状や既往歴などは、よくあるラインを形成することがあるので、例えば、婦人科疾患で来院したら、「水道」「気穴」の‘婦人科ライン’の所見を必ず取ることにし、反応があるならば「火穴」反応をチェックするというように、手順をパターン化しておくと、治療がコンパクトになってきます。
更に、‘基礎講座’でお話ししたように、多くの背部所見がサーッと改善する「肩グウ」「築賓」をはじめとするパターンも、特異の所見と共に頭に入れておくと便利です。所見が有ればあるほど、嬉しくなってきます。もちろん、患者さんの病態は様々ですから、一筋縄ではいかない場合も非常に多くあります。
しかし、‘基礎講座’修了程度の長野式治療法の初級レベルでは、よく出会うパターンを覚えて、そのパターンに入ってきたら確実に所見を取っていくということを繰り返していることが、より高いレベルに進む近道かと思います。

松本先生のセミナーでは、その年の新しい治療法と、松本先生が長野先生からお聞きした処置法でも、私たちにとっては耳新しいものが使われたりしますが、その他の多くは、‘基礎講座’で習得する処置法を使用されています。
‘基礎講座’で、「この処置法のターゲットとする所見は○△で、処置法に使用する経穴は◇×です」と、文字通り基礎を学びますが、ただそれだけではなく、その使い方で、相当高度な治療を行うことが出来ます。長野潔先生は、それほど細部にわたる所見は取られず、何と言っても脉診であり、一つの処置をしては、ジーッと脉を伺い、変化がない、あるいは乏しいときには、更に雀啄を続けたり、気の至るのを静かに待ちます。これは、鍼灸に、また、その脉診に心血を注いだ先生のなせる技ですが、初心者が数年でここにまで至るには、生まれつきの感性と尋常でない努力が必要と思われます。
もちろん、究極的には、その境地に至るのが目標ですが、私のような凡人が、並の努力をしていたのでは、死ぬまで治療はできません。

長野式治療法も、‘基礎講座’程度の知識を、最初はキー子スタイルで理解し臨床に試していくことが、長野先生の治療法に至る近道の一つかも知れません。松本先生のセミナーのビデオを、ラインで読む観点からジックリ観察すると、また、違った臨床ができるのではないでしょうか。
ゴルフではありませんが、「ラインを読む」能力が、鍼灸でも必要です。




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