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長野式研究会




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ネット講座

●実技講座からの便り
Vol.5 甘毒軍の恐ろしさ … ‘プレ実技講座’より:(2

現在、昨年度の‘基礎講座’が終了し、‘プレ実技講座’を開講中です。
‘プレ実技講座’では、‘基礎講座’で学んだ処置法や「長野式治療法」あるいは「キー子スタイル」で使用する独特な取穴等を、ペアになってお互いが取穴したり刺鍼したりして実際の実技を学びます。

今年度は、コロナ禍の影響でプレ実技講座の1クラスの人数を10名程度に抑えましたが、2クラスとなると、それでも興味ある参加者(患者)が多くいます。

私は、横浜の盲支援学校の非常勤講師として講座を受け持っています。
その参加者(Fさん)の中に「右関門」に非常に強い圧痛が診られる方がいらっしゃいました。
甘い物の摂取を尋ねると、「1日に大福を5個食べます。」と言われました。
近くに業者向けのお菓子の問屋があり、一般の人でも購入することができるそうです。
非常に安いので、相当買い込んでは毎日食べているとのことでした。
それも、1日5個とは異常です!!
私は、「このままでいくと死んじゃうよ!」と忠告しました。

この方は、一昨年の盲支援学校での私の講座に参加され、翌年(昨年)に大宮の基礎講座に参加されました。
その時には、介助の方に連れられて横浜から来られました。
そして、今年のプレ実技講座の参加です。
私が昼食の休みにトイレに行き帰ってくるときに、これからトイレに行かれるFさんとすれ違いました。
視力障碍がありますので、果たしてトイレの入り口が分かるか、見守っていました。
トイレの入り口に届いた頃に、大声で「Fさん、右側がトイレの入り口です」と叫ぶと、Fさんから「分かります…」との答えが聞こえました。

Fさんがトイレから帰ってきてお聞きしました。
私:「『分かりました…』とおっしゃっていましたが、見えるのですか?」
Fさん:「最近、今までより見えるようになりました。
ハッキリ見えるというのではなく、ボケていた焦点が少しクリアになっている程
度です。トイレ入り口にある男性トイレの青い人物を模したマークは分かります。
ですから、今まで白杖を使用していましたが、建物の中では白杖無しで大丈夫にな
りました。」
トイレに行かれるFさんを見ていて、何かおかしいと感じていたのですが、見慣れていた白杖を持った姿ではなかったからでした。
私:「なぜ視力が少し良くなったのですか?」
Fさん:「村上先生に言われてから、大福5個を止めました。
大福の後、パフェを食べるときもあったんです」
今は、患者さんから頂く甘い物を週に1回位食べる位です。」
そうしたら、体重も7s減り、狭心症の検査値も改善しました。」

Fさんの視力障碍は、視神経に関係している遺伝性の病気で、環境因子が発症を制御するそうです。
糖尿病は、神経が侵され、下肢末端部がしびれたり、眼疾患では失明したりします。
ですから、やはり大量の甘い物の大福を止めたことが原因でしょう。
環境因子が大福?だったのでしょうか?
また、Fさんは虫垂炎の手術の既往があり、甘い物は特にタブーだったからもあるのかも知れません。
(でも、1日5個は異常です!!)
‘甘い物’は、本当に身体に悪い!!…ということを実感します。
しかし、中毒性のある‘甘い物’をよく克服できたと感心してしまいます。


半年ほどの間に、不妊症の2人の患者さんが妊娠しました。
この患者さんには、甘い物をできる限り摂取しないように強くお伝えしました。
五臓では、‘甘’は‘脾’に属し、‘脾’は五主では‘肌肉’(≒筋肉)であり、子宮は‘筋肉’なので、甘い物は、婦人科疾患では、禁物です。
お二人は、甘い物を極力制限されました。
本当に、‘甘い物’は良くないですが、患者さんが‘甘い物’の摂取を半減させれば、我々の患者さんも半減してしまうのでは…?

常に‘甘毒軍’は、中国軍のようにスキを見せればすぐに攻撃を開始します。
また、ジワリ…と少しずつ領土を拡張してきます。
防衛線の警戒を緩めず、強力な‘甘毒軍’に立ち向かうのは、難しいですネ!?

美しいバラには棘がある。甘い物には毒がある

村上 裕彦 2021年05月




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