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長野式研究会




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●実技講座からの便り
Vol.6 魚の目・鷹の目 … ‘プレ実技講座’より:(3

‘プレ実技講座’は、主に「長野式治療法」・「キー子スタイル」の独特な経穴の取穴、基礎的でかつ利用頻度の高い処置法を学びます。
そして、学んだ処置法に関係のある所見があれば、クロスチェックでその所見を改善、あるいは、消失させていきます。
このクロスチェックで、選穴した治療穴を押圧し、所見が変化するのを実感して頂くのも重要な‘プレ実技講座’のポイントです。
‘基礎講座’の私の実技モデルのデモで、クロスチェックを見た参加者の中には、治療穴を押圧して所見がサッと変化するのを「あんなに所見が取れるの…?所見の手の力を少し加減しているのでは…?」と疑いの目で見ていた方も少なくありません。

そして今度はスタッフや私に指導されながらクロスチェックをして、自らの手でその効果を実感すると、「クロスチェックは、本当だったんだ…!」と、正に‘目から鱗’の状態になります。
改めて、ここからが本当の「長野式治療法」・「キー子スタイル」、特にクロスチェックの「キー子スタイル」の始まりであり、鍼灸治療の不思議さと凄さに驚き、目の輝きが違ってきます。

‘プレ実技講座’は、簡単な単発の処置法だけで、トータル的に身体を診て臨床として治療するのは、来月からの‘実技講座’からになります。
所見は、1対1対応のような簡単なものではなく、教えられた治療法でターゲットとなる所見が取れないことも多々あります…というより、それが臨床の現実ですが、先ずは基本となる処置法を学ばなければ、原因が複雑に絡み合った所見や症状を改善することができません。

なかなか改善しない所見のその改善を阻害している代表が、‘傷’と‘魚の目・タコ’です。
今回の‘プレ実技講座’では、4名の‘魚の目’保持者?が参加されていました。
そのうちの一人は、副腎処置を学んでいたときに、「右関門」付近から「右外陵」付近に少し膨隆したような感じの押圧感が残っていました。
仰臥位でしたので足裏の様子を診なかったのですが、スタッフが右足の「裏内庭」付近に直径2oほどの‘魚の目’があることを見つけました。
残った所見と同じ右側でしたので、‘魚の目’を押圧すると身体をよじるほどの圧痛がありました。
(‘魚の目’は、大小は関係ありません。有るか無いか分からない程度のものでも、強い圧痛があることはよく診られます)
すると、「右関門」付近から「右外陵」付近は嘘のように消失しました。

「キー子スタイル」を学んだことの無い方には、ちょっと首を傾げたくなる治療ですが、‘魚の目・タコ’治療は、もしこの所見(魚の目)が有りましたら何よりも先にチェックすべきものです。
つまり、所見や症状の改善を阻害しているのが‘魚の目’でしたら、これを真っ先に取り除いた方が後の治療がやり易くなります。

‘魚の目’の治療は、原則として場所により改善する適応所見がほぼ推測できます。
例えば、「大都」・「太白」付近は、脾経に関した症状や所見、「裏内庭」付近は主に消化器系の症状や疾患、「足通谷」・「至陰」付近は、婦人科疾患や膀胱経に発現する症状や所見などに効果があります。
恐らく、このモデルは「裏内庭」付近の‘魚の目’でしたから、「右関門」付近から「右外陵」付近の所見は、恐らく消化器系に関係があったのではとも考えられます。
しかし、‘魚の目’は、その影響のある所見は全身どこにでも発症する可能性があります。

‘魚の目’の治療は、その‘魚の目’に直接刺鍼したり、施灸します。
刺鍼や施灸は、‘魚の目’の範囲内であれば、全くというほど痛みはありません。
施灸は、多壮灸が原則ですが、熱さを感じるまでは相当かかります。

『医道の日本』誌に‘魚の目’の特集のときに、治療について何人かの著明な鍼灸師が投稿していますが、その中の一人に松本岐子先生がいます。
他の先生方は、‘魚の目’そのものの取り除き方について書かれていましたが、松本先生だけは、‘魚の目’がどのような影響を身体に及ぼすかという内容でした。
流石、松本先生です。
目の付け所が違います。
「イヨーッ、松本屋!!!」との掛け声をあげたい衝動に駆られます。

臨床では、ちょっと目につかない‘魚の目’を、‘魚の目’ならぬ‘鵜の目、鷹の目’で探してみることが必要です。

魚の目 鷹の目


村上 裕彦 2021年05月




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