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●基礎講座からの便り vol.8 |
‘問い−(1)’の時は、応答があるかないかヒヤヒヤして、‘問い−(2)’の時は、予想以上の多くの応答があり嬉しい悲鳴でしたが、今回の‘問い−(3)’では、待てども待てども2通の応答のみ?! 前回、返答を強く言い過ぎたのか…、この程度か…と愛想を尽かしたのか…、私の返答に納得がいかないのか…、等々、千々に心は乱れています。 それならそれで、クレームを付けていただくと有り難いのですが…。 松本先生が、応答がないのが一番応える…と言われたのが身に凍みます。
とはいっても、先延ばしにできないので、少ない応答を大きく膨らませて返答していきます。 今まで、誹謗中傷、有ること無いことでなく、無いこと無いことあげつらって非難されたこともあり、相当打たれてきましたので、打たれ強さと忍耐には自信があります。 きっと、数人の方は返答を期待されている!!!との淡い期待を持って、老体に鞭打ち、いざ出陣!!! (と、鞭を当てアップしようと思った矢先、もう1通応答がありました。だから、また少しアップが延びました) 今回は、「キ−子スタイル」のクライマックス!!!の一つとも言える内容の前哨戦です。
問い−3:ここまでで、問診の段階が過ぎました。 (ここまでは、村上も患者さんも椅子に座っての対話です) いよいよこれから所見を取ります。 (患者さんにベッドに横たわっていただきます) ‘基礎講座’で行う基本的な腹診・背候診などは全て行いました。 また、通常の頚部から上のポイントは所見を取っています。 ●その他に絶対取らなければ所見があります。 それは何でしょう。 (恐らく、ほぼ全員の応答は同じかと思います) ●それから、全ての腹診・背候診の所見は診ましたが、診る前にここは必ずあるだろう、これは絶対に診ておかなければならない…と思える所見をいくつか推理してみて下さい。(全部ではなく、ここは重要と思われる所見に絞って下さい) また、その理由もお書き下さい。
*ニックネーム: 友蔵 問い−3:●右ももの注射痕の位置と圧痛、または、違和感の有無。 ●各経の火穴反応を知りたいです。 理 由:‘けんたろうさん’に対して、返答を保留している事がとても怪しいです。 コメント:今回は3名のみであり、応答も似ているところがありますので、三人一緒に私の返答の所でコメントしていきます。
*ニックネーム: ソムリエ 問い−3:●絶対に取る所見=筋肉注射の跡。 ●必ずあるだろう所見=扁桃と肝 理 由:出生時の黄疸・筋肉注射、その後の虚弱体質、不妊治療、右の愁訴など。
*ニックネーム: けんたろう 問い−3:●絶対に取る所見=筋肉注射の跡。 ●絶対に取らなければならない所見:右大腿部の筋肉注射の跡の傷所見 理 由:‘病は上る’のtheoryより、一番下部であるため ◆診る前にここは必ずあるだろう、これは絶対に診ておかなければならない…と思える所見: ●左外陵-大巨領域、右天枢、右期門、C3右華佗穴、膈兪 理由:出生時に黄疸がひどかったことから、血による影響があると思われるため ●肓兪 理由:出生外傷(出生時に仮死状態)のため
【村上からの‘返答’】
〔村上が、この問診票に対して必要な所見を取っていきます。 その時に特に重要視する事とその理由〕 問い−3:その他に絶対取らなければ所見があります。
応答された二人は、「長野式治療法」・「キ−子スタイル」には、経験もおありで流石に同じ答です。 もう一人は、ニックネームだけですので経験は分かりませんが、「キ−子スタイル」を学んでいる方だと思います。 やはり、答は同じです。 (恐らく、ほぼ全員の応答は同じかと思います) と書き添えましたが、その通りになりました。 三人とも‘注射痕’と応えられました。 前回までに、発症は、右側全体が硬直した20歳頃まで、そして、肩こりは子供の頃から酷かったために、恐らく本当の原因(バックグラウンド)はその以前…、ということは片側の扁桃腺肥大と出産の異常(@仮死状態、A黄疸、B筋肉注射)、となります…という所まで来ました。 @〜Bまでは、それぞれに重要性があり、それぞれをチェックしておかなければなりませんが、黄疸は、ニックネーム:ちのっぴさんが最初の‘問い’の一番引っかかったことで以下の応答をしています。 「新生児黄疸です。新生児は赤血球の分解が速く、ビリルビンの生産が増加するため、新生児の肝臓は未成熟であり、月齢の高い乳児と同じようにビリルビンを処理して体外に排出することができないためです。生まれてから肝を酷使してきた故の症状ではないかと推察します。プラス黄疸を止める薬剤を注射されているのでさらに肝を酷使してしまっているのではないでしょうか」 最初から多くの皆さんが、‘肝’と‘黄疸’に眼をつけられてきましたから、ソムリエさんのように ‘肝’と‘黄疸’所見は、絶対に注視する所見です。 また、当然右側の扁桃所見も重要ですし、「キ−子スタイル」では、主訴や既往歴などに書かれている症状などは、絶対に見過ごしてはならない所見です。 また、家族歴や嗜好、時には趣味などが関連することがありますので、必要ならばそこも見逃せません。 @の仮死状態は、出産の異常の経穴「膏肓」が使用できるか(「膏肓」のクロスチェックで所見が改善するか…)という治療にすぐに結びつく条件に関係があります。 また、‘けんたろうさん’の言われるように、出生の異常は、副腎に関係があります。 副腎の反応は、ネーブルクロックの4時・8時(「肓兪」も含む)です。 (「膏肓」・「肓兪」共に、‘肓’の文字が入っています。‘月’=‘にくづき’ が‘亡’=亡くなる…という字です。「肓兪」は臍の傍らの経穴です。出産時には臍の緒が離れて亡くなります。「膏肓」は少し意味が異なりますが、松本先生の『医道の日本誌』のバックナンバー「膏肓考」を参照下さい」) ただ、単なる出産の異常だけでは、いくつもある広い右側に偏った愁訴にはちょっと弱いかな…?と思われます。
それからAの黄疸は、右側の愁訴の原因としては、考慮に入れなければならないバックグラウンドになる可能性があります。 一応、この件に関しては横に置いといて…。
残ったのがBの筋肉注射! 最も私が興味を持った問診票のなかの言葉が「筋肉注射の跡が右ももに残っています」です。 通常は、初診の患者さんには、当院の場所・アクセス方法などを書いた地図と問診票を先に送付し、初診当日に問診票を持ってきていただきます。 しかし、この患者さんは初診までに海外旅行に行くので、先に問診票を郵送してきました。 その問診票を主訴から見ていって、「筋肉注射の跡が右ももに…」の部分に目が止まりました。 そして、その時に、恐らくこれが原因?!!!とほぼ確信しました。 「筋肉注射の跡が右ももに…」ということは、通常は注射は跡が残らないですが、残っているということは普通の平坦な皮膚ではない、えぐれているか膨らんでいるか、目に見える何らかの痕跡があるということです。 そして、今までの‘問い’は、ここに眼を向けていただきたい、この様な考え方をすると良いよ!…と‘基礎講座’で学ぶ「キ−子スタイル」の考えを入れながら導いて来たものです。 (何と深謀遠慮!…最近、自画自賛が多くなってきました。年を取った証拠なのかも知れません) この考えの補強材料は次回に述べたいと思います。
松本先生の問診票には、既往歴が「小児期」、「思春期」、「成人期」と分けて記入されるようになっています。 「成人期」は、そのままの症状や所見を考えればよいのですが、「思春期」は、ホルモンが絡んできますので、バックグラウンドにホルモンを考えに入れなければなりません。 そして「小児期」は、患者さんが成人でしたら、小児のときに起きたことはその発症した原因に何も治療しなければその原因は発達、成長していきます。 ココですヨ!!!
ですから、村上からの返答は、「‘右もも’の筋肉注射の跡」です。 そして、‘友蔵’さんは、更に「注射痕の位置と圧痛、または、違和感の有無」というように、‘位置’に触れています。 位置は非常に重要です。 「‘右もも’の筋肉注射の跡」は、「風市」から少し下の胆経を始点として、やや斜め内下方に胃経・脾経・肝経を経て肝経と腎経の間くらいまであり、筋断裂を起こしたように約2pの幅で少しえぐれたように谷状になっています。 谷状になった傷とその傷の下方に沿って約2〜3pの幅にもやや強い圧痛が診られました。 そして「風市」にも圧痛がありました。
●それから、全ての腹診・背候診の所見は診ましたが、診る前にここは必ずあるだろう、これは絶対に診ておかなければならない…と思える所見をいくつか推理してみて下さい。(全部ではなく、ここは重要と思われる所見に絞って下さい) また、その理由もお書き下さい。
所見に関して述べられているのは、 ‘友蔵’さんが「各経の火穴反応」 ‘ソムリエ’さんが、「扁桃と肝」 ‘けんたろう’さんが、「左外陵-大巨領域、右天枢、右期門、C3右華佗穴、膈兪、肓兪」
村上からの返答は、ソケイ部、「水道」・「気穴」、甲状腺反応部です。 これに関しては、私の興味に関することですので、それぞれの皆さんの応答で結構です。 なぜ、これらに私が関心を持ったかというと、不妊がこの注射痕に関係があるかということです。 応答の所見に関しては、扁桃(右「天枢」)、肝(右「天枢」・右「期門」・C3右華佗穴)、オ血(左「外陵」-「大巨」領域、「膈兪」)、副腎(「肓兪」)は、「その通りです」ということです。 私の‘理由’に対しての質問の仕方が悪かったのですが、ただ、これらは、当たり前過ぎてそのもう一歩先を聞きたかったのです。 これは、本当に村上の質問の仕方が悪かったです。申し訳ございません。
主訴は、ほとんどが運動器疾患で、基本的に、最初に運動器疾患に表れてくることが多いです。 私はこの状態を「病が身体をノックする!」という状態と言っています。 ですから、この主訴はまだ麓の段階(身体をノックしている)で、これが進むと内臓系、五臓の症状が出てきます。 この状態が「病が身体に侵入してきた!!」です。 この方の内臓系・五臓の病気や症状の代表的なものは、不妊と甲状腺です。 そして‘腎’に関係があります。(下の臓器・深い臓器です) 先に書きましたが、一つは私の興味があります。 「不妊を治してあげたかった…!」です。 あるバックグラウンドが、不妊の原因になったのでは? もっと早く鍼灸治療に来られていれば不妊治療の必要は無かったのでは? 更に早ければ、子供の頃からの肩こりは起きなかったのでは?と思います。 つまり、この方の最後の方の状態が改善すれば、途中も改善するのでは?と考えています。
所見を取りましたが、大変興味ある結果になりました。 仰臥位では、左側の所見は心臓らしきものだけで(「ダン中」やや左側、「乳根」、「中府」・「雲門」からやや外側の三ヶ所。全てが心臓に関係があるとは限りませんが…)、オ血もソケイ部の圧痛もありません。 (ただ圧痛は無いのですが、やや硬結のような感じがあります。私は、所見陽性と診ます。 治療しているうちに圧痛が出てくる可能性もあります) 主訴には右側の腕の症状もあるのですから、頸部所見は相当な圧痛があるかと思いきや、両側共カチカチで圧痛は全くなく、患者さんも何も感じないと表現しています。 (もちろんカチカチという所見として取ります) 他に、右ソケイ部、右恥骨角〜「横骨」、「右気穴」(子宮)、「右関門」、「右日月」(胆嚢)、「右期門」(肝実)、そして、右側の「水道」(卵巣)を中心に直径5p程(扁桃も入る範囲です)のやや柔らかい膨らみのような固まりが感じられ、押圧すると身をよじるような非常に強い圧痛が診られた。 「人迎」(甲状腺)の所見は、両側共に圧痛はなく固い感じがありました。
伏臥位では、右側の肩甲骨内側から脊柱にかけての広い部分の感覚が無く、「左天宗」・L2とL2の右華佗穴(‘宗気治療’)、T10(胆嚢)・T11(糖代謝)の右華佗穴、T5の両華佗穴(頸部・‘気’の病・左側は心臓など)、その他は特に所見はありません。
主訴も本来は細かく調べるべきなのですが、ほとんどの症状は圧痛は余りなく、後頭部痛もコチコチで圧痛そのものは感じられません。 仙腸関節部痛も圧痛は診られません。 本人の自覚症の方が強いようです。
‘友蔵’さんは、「各経の火穴反応を知りたいです」と書き添えています。 ‘各経’とありますが、もう少し絞っていただくとベストだったかと思います。 ただ、この段階では少々情報不足ですから、非常に良い所に眼を付けられたと思います。 そして、‘友蔵’さんは、理由に「‘けんたろうさん’に対して、返答を保留している事がとても怪しいです」と書かれているのは、人生を知る大人の見方かと思います。 ‘友蔵’のお人柄を知る私としては、こんな応答も‘ニヤッ’としながら、応答を読む楽しみの一つです。
この‘ネット基礎講座’は、解答を出すことが目的ではありません。 治療に正解はありません。 結果として、主訴や愁訴が改善したり消失したりすることが目的であり、極論を言えば、それが達成されれば治療法などは何でも良いのです。 毎回松本先生のセミナーは、テーマが異なりそのテーマに沿った治療でモデルとなった患者さんを治していきます。 かといって、その回の治療だけが正解ではなく、以前の治療でも治すことができると思います。 この様に、患者さんの異常は、どのように診るかによって治療も異なってきます。 ですから、‘ネット基礎講座’では、色々な角度から様々な考え方見方を学ぶことが重要です。 そんな気持ちで次の‘問い−4’に応答して下さい。
問い−4:問診票と所見から、治療方針を決めます。 そして治療方針を立てる前に、以下のことを想像してみて下さい。 (ここまでの進め方は、‘実技講座’で実際に学んでいく内容であり、私の臨床もこのように進めていきます) ●問診票と上述しました所見から、この患者さんの病状から診た人生を振り返って下さい。 (○△の様な経過を経て、愁訴が発症し、恐らくこの所見は◇☆から出てきたのかも知れません…というように、想像力を膨らませて下さい) ※簡潔にお願いします(余り長くならないように…というお願いです)。 長いときには、重要と思われる処を残して割愛させて頂きます。
まだ‘基礎講座’を受講していない人には、更に難しい感じがするかと思いますが、‘基礎講座’を学ぶときまでに、少しでも「長野式治療法」・「キ−子スタイル」、特に「キ−子スタイル」の思考傾向を学んでいただくことが重要です。 (岐子先生からすると、「こんな低レベルの思考傾向なんぞ、持っているか!!」と怒鳴り散らされそうですが…) 応答を読むことにより、「キ−子スタイル」を学ぶと、ここまで推理することが出来るのか…!!と未来の自らの姿をダブらせることができると思います。 もちろん、思ったままに応答下さっても結構ですし、質問も大歓迎です。 「こんなことを言ってはまずいかな? とか、こんな事質問するのは恥ずかしい…などは思わなくて結構です。 私の方から見れば、初心者の考え方や疑問点が分かり、講座のヒントになります。
今回は、如何でしたか? 人の身体は、様々だ…!と思いませんか。 西洋医学は、人間の身体は同じ…としてエビデンスを取り、同じような条件がそろえば同じ治療をします。 鍼灸治療は、人間の身体を個々の状態を診て、その人に合った治療をします。 西洋医学は‘レディメイド’、鍼灸治療は‘オーダーメイド’の治療といえるのではないのでしょうか。 今回の不妊治療にしても、西洋医学とは全く異なることがお分かりになるかと思います。 (まだ、答えらしきものは出ていませんが…)
鍼灸ってクール!!! と思いませんか!!!
下は、前回とこれからも同様です。 出来ればお名前を書いていただきたいと思いますが、ニックネームだけでも結構です。 アップするときには匿名で、ニックネームを附記しておきますので、ニックネームもご記入下さい。
応答に使用するアドレスは、いつも使われているものではなく以下をご使用下さい。 naganost は同じですが、 @ マーク以下の msc.biglobe.ne.jp を w-key.jp と換えて送信下さい
鍼灸って、クールだろ…! 応答を待ってるぜ! |
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