HOME に戻る
長野式研究会







・My Family
・セミナー情報
 ├ vol.19
 ├ vol.18
 ├ vol.17
 ├ vol.16
 ├ vol.15
 ├ vol.14
 ├ vol.13
 ├ vol.12
 ├ vol.11
 ├ vol.10
 ├ vol.9
 ├ vol.8
 ├ vol.7
 ├ vol.6
 ├ vol.5
 ├ vol.4
 ├ vol.3
 ├ vol.2
 └ vol.1

title_tomin.gif

●セミナー情報
vol.15 


『第11回 松本岐子先生セミナー in Japan』から…(1)

『第11回 松本岐子先生セミナー in Japan』のDVDの編集や目次の作成で、セミナーの内容を繰り返し見ることになりますが、その度に、岐子先生の凄さに改めて敬服してしまいます。
セミナーのサワリの部分をご紹介しますので、是非、「キー子スタイル」の素晴らしさの一端に触れて頂きたいと思います。
そして、見逃していただきたくないポイントを書き添えておきましたので、そんなところも注意して頂ければと思います。
(概要が書かれていますので、この症例の治療全体、詳細を学びたい方は、DVDをご覧下さい)

40歳、女性、事務職
【主訴】

左耳の難聴。メマイ。

【現病歴】

昨年4月頃から、左耳が聞こえ難くなった。
医師は、神経に問題があるのでは?とのこと。左の脳の血流が悪いと言う。耳には異常なし。
CT・脳波は異常なし。

【既往歴】

38歳…子宮筋腫・卵巣肥大の手術。
そのときに、腸に傷をつけて大出血。輸血をする。
手術後より、自律神経の異常を起こし易くなった。

【その他】

セミナーの直前、他に「筋硬直性ジストロフィー」の診断を受ける。

【随伴症状】 「大椎」周辺の肩凝り。
【所見・治療他】 ●最初に「上リョウ」・「次リョウ」・梨状筋のチェック…∵もともとが婦人科から発症している。
   ※バックグラウンドの捉え方に着目してください。

●伏臥位で、「照海」を押圧しながら背部所見のチェック→多くの所見が改善or消失
   ∵「照海」は、ホルモンの経穴であり、婦人科から治療を試みようとされています。
*背部所見は、C3・上部胸椎の多く・T7・「命門」・「右次リョウ」・「右上リョウ」付近
  *T7・「命門」は、耳に関係があり、C3はメニエール病に関係がある
→ここで、主訴の耳やメマイに関連する所見をしっかり取っています
  *腓腹筋に、強い圧痛があるが、それは改善せず

●これにより、治療方針を「照海」「兪府」の副腎処置から始めることにする。
  *「兪府」の圧痛が強いので、それを改善するために、「神門」で「兪府」の圧痛改善をチェック
   「兪府」の圧痛が余り改善しないので、「少海」に換えると「兪府」の圧痛が大幅に改善
   ※「キー子スタイル」では、刺鍼部位の圧痛が強いときには、遠位穴でそこの圧痛を改善してから刺鍼します。
    「兪府」の圧痛改善は、「神門」or「少海」のどちらか効果のある方
…このような情報を一つずつ覚えることが、「長野式治療法」「キー子スタイル」上達の秘訣の一つです。
岐子先生は、一つ一つ改善させる度に、「長野潔先生がおっしゃった…」と何度も繰り返されます。

●「少海」が「兪府」の圧痛を改善させたことにより、「少海」を押圧したまま「大椎」周囲をチェック
    →「大椎」周辺の肩凝りが改善。
ここは、小腸経の範囲であり、小腸経の所見は、「少海」で改善することが多い。
長野潔先生が言われたことを、忠実に臨床に生かすのが「キー子スタイル」です。

◆このときに、岐子先生はモデルに、偏食かどうかを尋ねています
…ここが、この治療のターニングポイントになりました。


「照海」→「少海」と続いたことにより、岐子先生は、治療方針の一つに「海洋穴」を入れました。
    ※「海洋穴」(=Ocean Points)…「照海」「少海」「小海」「気海」「血海」と‘海’の付いた5つの経穴を言います。
‘海’は、ミネラルの源ですから、ミネラルのインバランスや‘海’に関する治療に使用します。
好き嫌いの多い患者さんに、「海洋穴」が関係のある人が多いと、岐子先生は言われました。
    ※松本先生の著書『Kiiko Matsumoto‘s Clinical Strategies … In The Spirit Of Master Nagano』に、この「海洋穴」が掲載されています。是非、お読み下さい。
この著書を読まれた方や、‘松本先生の著書を共に学ぶ講座’に参加されている方は、ここで、「オッ、これが噂の「海洋穴」…」と思われたでしょう。

※ちょっと‘宣伝臭’が強い…、と思われるでしょうが、やはり、素晴らしいものは宣伝したくなります。だから‘松本先生の著書を共に学ぶ講座’が60回以上も続いているし、参加者も増えているのです。
長野潔先生の著書から得られるものは非常に大きいですが、松本先生の著書から得るものも非常に大きいです。
(村上は、「長野式治療法」・「キー子スタイル」の広報・宣伝部長です。職務を忠実に全うしています)
  *岐子先生は、耳疾患に「チョウ筋」(‘チョウ’は、文字化けをしてしまいますのでカタカナを使用します)を使用しますが、この‘チョウ’は耳の中で車が回転していることを表しているのでは(=蝸牛管のことか?)…と言われます(‘チョウ’を思い描いてください。‘車’と‘耳’が入っています)。
…この古典解釈。アホな!と思うか否かが、「キー子スタイル」を理解するターニングポイントになります。
耳の病は、海と関係があるとも言われ、主訴の‘耳とメマイ’に、いつの間にか「海洋穴」が深く関わってきました。

●この後、治療の要所で、残りの「小海」・「気海」・「血海」が使用されます。
   … 詳細は、DVDで!!!


岐子先生は、治療をしながら、会場からの質問に答えます。

【質 問:A】「然谷」(腎経「火穴」)に圧痛があるのに、どうして腎経の「気・水穴」処置をしないのですか?
【答 え】「然谷」の圧痛は、交感神経の過緊張を表します。しかし、交感神経過緊張を表す脊柱起立筋が緊張していませんでした。
【質 問:B】腓腹筋に強い圧痛があるので、糖代謝の異常として、なぜ、「右関門」を使用しなかったのですか?
【答 え】糖代謝異常ならば、反応のある「右関門」とT11に反応が無かったからです。
‘質問:A’の「然谷」の圧痛や、この腓腹筋の圧痛は、他の筋と同様に敏感なのかも知れないと考えたからです。
(補足:他の所見も、非常に過敏に反応し、強い圧痛を表していました)
この方は、余りインフォメーションが無く、医師からのハッキリした診断は「筋硬直性ジストロフィー」だけでした。
恐らく、「然谷」や腓腹筋の圧痛も、腎経の「火穴」反応・糖代謝異常というよりも、「筋硬直性ジストロフィー」に関係があると思いました。

どんどん所見を取り、圧痛改善のチェックをしながら、頭の中では細かい鑑別診断をし、治療方針を柔軟に変更し、可能性を素早く取捨選択していくこの妙技!!
岐子先生のこの治療の流れも、是非、見て欲しいのです。


岐子先生のセミナーは、その人の程度に応じて理解できます。
(ただし、全く「長野式治療法」や「キー子スタイル」に触れていない方は難しい所もありますが、標治法として、非常に参考になるものがあると思います)
坂本龍馬が西郷隆盛を(逆だった?)、「小さく叩けば小さく響き、大きく叩けば大きく響く」と評しましたが、まさに、岐子先生のセミナーは、皆さんの問うエネルギーによって、小さくも大きくも答えてくれるものです。

長野潔先生の亡き後、「キー子スタイル」を世に広く知らしめることが、故長野潔先生の夢であった‘鍼灸の地位向上’に大いに貢献することになると信じています。
そして、「長野式治療法」と「キー子スタイル」が多くの人に知って頂くことが、私の夢の一つでもあります。

今回のセミナーは、メインテーマとは別に、耳鼻科疾患が多く扱われています。
サブテーマは、耳鼻科疾患とも言えるセミナーでした。
耳鼻科疾患は、このセミナーで多くをカバーできるのではと思います。
岐子先生のセミナーに参加されなかった方は、是非、DVDをご購入頂き、鍼灸の素晴らしさを実感して頂きたいと願っています。
(DVDの宣伝になってしまいますが、一見の価値(一購入の価値?)有りです。
宣伝‘臭’ではなく、宣伝‘香’の芳しい文と、自画自賛しています)




Copyright(C) wkey 長野式研究会 All rights reserved.