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●セミナー情報
vol.2 


遅 報  『2006年度 松本岐子先生セミナー in Kyoto』

ホームページの更新が遅れに遅れてしまったために、『2006年度 松本岐子先生セミナー in Kyoto』の直後に書いた速報が、アップするのが今になってしまいました。
「セミナー速報」ならぬ、「セミナー遅報」を、一部修正してお送りします。
遅報でも、内容は今でも変わらない価値を持っていると思います。

◇人間の先祖は、全て障害者だった

このセミナーのメインテーマであった「人迎」は、もちろん非常に効果的であり、明日からの臨床にすぐに使用できる素晴らしい治療です。
「人迎」についての内容は、セミナーのビデオをご覧になって頂くことにして、このメインテーマの他に、私が非常に印象にのこった内容が2つあります。
一つは、中国の先祖である「フギ」と「ジョカ」には、9人の子供がいて、何れもどこかに障害があったとのお話しでした。
通常でしたら、国の先祖は素晴らしかった、あるいは、9人の子供のうち、一人が健康であり、この人が国を継いだ…というような物語になるのではと思いますが、この9人の障害者それぞれに国を分け与えたのだそうです。
私達は、病気が無ければ、あるいは、症状が現れていなければ、または、健康診断で全てがノーマルとの結果が出れば健康であると思っていますが、人間は本来障害者として産まれてきたのではないかと思います。
明らかに、外からそれと分かる障害があったり、体内に欠損部がある、または、異常部位があるなどの診断がついているものはもちろんですが、見えない、あるいは、診断できない精神や心の部分を含めれば、‘正常’という基準が無くなってくるのではと思います。
金、金、金…!!!の亡者達、権力こそ命の政治屋ども、人を陥れようとする邪心の塊の者ども…等々、これらは、天から見れば明らかな心の障害者ではないかと思います。
 現在、ストレスケアセンターに鍼灸科が設置されるため、医師の皆さんと色々と話し合いを持っています。
 先日、院長先生のお話しがあり、世界の自殺率の比較で、ニュージーランドの自殺率が非常に低いという資料がありました。
 私の患者さんに、ニュージーランドで7〜8年間保母さんとして生活している、20歳代後半の日本人女性がいます。
 最初、2年程行ってこようと思って出かけたのですが、非常に住みやすいので、そのままずっとニュージーランドに住み続けてしまったのだそうです。
 日本に里帰りした際、腰痛が発症し、来院しました。
 生まれつきの胆道閉鎖症により、まるで切腹したような手術痕が腹部を横切るようにあり、深い窪みとなっていました。
 若い女性ですから、腹部を見せるような洋服や水着などを着たい年頃ですが、日本では難しいのではと思います。
 ニュージーランドでは、子供の頃から、徹底的に人間は平等であることを教え込まれるのだそうです。肌の色、性別、障害…など、それらで差別されることはないように、社会全体が平等という意識を共有しているそうです。
 ですから、日本に久しぶりに帰ってきて驚いたことは、駅前のイトーヨーカドーが夜の11時まで開店していたことだそうです。
 ニュージーランドでは、特定の職業を除いては、夜は、皆が平等に過ごそうということで、5時頃になると、ほとんどの店が閉まってしまうそうです。
 この患者さんが、ニュージーランドに魅せられて、結局、そこに移住してしまったのは、大きな傷痕があっても、一個人として人格を尊重してくれる国の空気が心地よかったのかと思います。
 心の障害までも含めて、皆に何らかの障害があるとの前提があれば、優越感や劣等感を持つことも少なく、お互い、少しでも助け合っていこうとする原動力になるのではと思います。
 世界の至る所で差別があり、イジメがあります。差別をすることが人間の業なのかも知れません。
人の違いを指摘して差別をする人達は、‘心の障害者’という認識が広くあれば、イジメや差別も少なくなってくるのではと思います。
 旧日本軍のイジメは、世界でも類を見ないほどのものであり、これから共に戦おうとする同じ国民を、馬以下のものとみなす教育がなされていた反省もなくきています。
 戦時中は、心の障害者が集まった国だったのかも知れません。
イジメの報道を耳にすることも多く、日本の自殺率が高いのも、肯ける感じがします。
人間は、産まれながらに障害者…、古代中国人は、凄い思想を持っていたと思います。

◇先ず、鍼灸を試して!!

2つ目は、手術の前に、先ず、鍼灸治療で経過観察を…ということでした。
セミナーのモデルに、主訴が左ソケイ部痛の患者さんが出られました。
脳に髄膜腫があり、医師に左ソケイ部痛を訴えると「とうとう来たか」と答えたそうです。このソケイ部痛が髄膜腫に関係があるのか、とても心配とのことでした。
ソケイ部痛は、アッという間に消失させましたが、治療の途中で、松本先生がモデルさんにしつこいくらいに、「髄膜腫をすぐに手術をしないで、先ず、鍼灸を試して髄膜腫の進行を経過観察してから、手術しても遅くないんじゃないの?」と何度も聞いていました。
(あくまでも、鍼灸で必ず治せる…というのではなく、経験から、もしかしたら小さくなるかも知れず、たとえ、髄膜腫はあったとしても、少しでも小さくなり、身体に悪影響がなければ、共存していくことができるということと思います)
11月26日のセミナーでしたが、翌年の2月には手術が決まっていました。
松本先生は、今までの経験で、腫瘍の進行を止めたり、小さくしている症例を数多く持っています。手術を免れた患者さんも少なからずあるそうです。
私が、十数年前に松本先生のオフィスに見学に行ったときにも、何名かの癌患者さんが来院されていました。
一人の若い男性には、左後頚部に腫瘍があり、松本先生が治療しながら「この人は、もう余り長くないんだ。でも、腫瘍は小さくなっているんだよね」と、日本語で話しました。
この方が、どうなったかは知りませんが、鍼灸が進行性の腫瘍に対して効果があることを知りました。
それから、十数年経っていますから、松本先生の治療内容もアップし、経験も豊富になり、腫瘍に対する効果も上がってきているのではと感じました。
ちょうど、今年2月初旬に、しばらく音信が不通だった長野式研究会の初期の頃の会員の方から、治療をして欲しいとの連絡がありました。
 この方も偶然、髄膜腫であり、他に、下肢のムクミや皮膚炎、手のシビレなど多くの症状を訴えていました。
 松本先生のセミナーを受けていなければ、髄膜腫に対しての治療は考えませんでしたが、松本先生の態度に刺激され、この方自身も、手術はなるべく避けたいとのことでしたので、出来るところまでやってみようという気持ちになりました。
 現在、23o×14oだったのが、22o×14oとなり、誤差の範囲としても変化していないことは明らかです。
 顔もむくんでいて、皮膚炎のためにお化粧もできなかったのが、今では、薄化粧をされ、長く止めていた鍼灸も、夏から治療院を始められました。
 腫瘍を小さくできるかどうかは分かりませんが、始めは、松本先生を目指してtryすることが大切と思います。
松本先生は、傷治療で有名ですが、手術が原因で、様々な愁訴が発症することを述べ、また、セミナーでも、傷が原因の患者さんが多く見られます。
身体にできればメスを入れずに済ませたいものです。
緊急を要する場合は対象外ですが、腫瘍が作られた原因は自分にあるのですから、治す力も自分にあるかも知れません。
 あるいは、先に述べたように、治療で共存できるようにしていくことが大切かと思います。
 「先ず、鍼灸で治療して、様子を見ましょう」と言える力量のある鍼灸師が増えれば、故長野潔先生の目標であった「鍼灸の地位向上」に貢献できるのではないかと思います。

《補足》私の治療院は、現在、鍼灸師の治療や見学は、一切止めています。
以前は鍼灸師の治療をしていたのですが、非常識な振る舞いが多く見られ、また、私の患者さんの予約にも影響があり、迷惑なことが続いたので、鍼灸師の治療や見学を、当分の間、中止することにしました。
個室の治療室ですので、治療終了後に衣服を着てもらうために、私が室外に出ると、その間に室内の様子などを調べたり、治療中に質問攻めとなったり、突然キャンセルされた方も何人かいました。
現在、数名の鍼灸師を治療していますが、この方達は、前述の方のように長野式治療法がこのように知られていない頃の非常に古い会員の方で、以前から治療を続けておられる方です。
いつか、時間が許すならば、鍼灸師だけの治療日、あるいは、治療時間を作りたいと考えています。




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