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長野式研究会




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ネット講座

●その他の講座や皆様からの便り vol.2

質問について

時折、メールで質問があります。
メールでの質問に対する方針などをお知らせしたいと思います。
最近、以下の質問がありましたので、それを基にしてお話しいたします。


【 質 問 】傷治療についてお聞きしたい事があります。任脉上の傷についてです。
 (Sさんよりの質問)

50代、女性。[主訴]めまい
メガネの鼻パッドが当たる高さの正中線上に少し触れるだけで痛みと何とも言え
ない不快感が現れる箇所がありました。
触れると不快感が強くクロスチェックがきちんと出来ませんでした。
何十年もスノーボードをされている方で、鼻の正中はゴーグルのパッドが当た
る箇所との事でした。
その他に、左右両方のスネ辺り(胃の気ライン上)に約13センチ程の縫い傷、後頭
部を何十回と打撲、尾底骨を何度も強打などがありました。
スネの縫い傷には鈍痛と違和感があり「肩グウ」・「築賓」で改善させました。
後頭部と尾底骨は何度も確認しましたが、痛みや違和感はありませんでした。
「肩グウ」・「築賓」は鼻正中には効果がないようでした。
以前、帝王切開の癒着に「正営」が効いたので試しましたが、これも変わりません
でした。
施術後、主訴のメマイは改善していたので直接の原因ではないかもしれませんが、
かなり気になる所見でしたのでアドバイスいただけたらと思います。
お忙しいところ恐縮ですが何卒宜しくお願い致します。

【 村上からの返答 】鼻パッドの当たる部分の圧痛に関してですが、「肩グウ」・「築
賓」の選択は間違ってはいないかと思います。
しかし、それが効果が無い時は、
 ●自身の取穴がシビアでない
 ●他に「肩グウ」・「築賓」の効果を妨げているような原因がある
 ●直接鼻に影響を与えている何かがある
等があります。
これらは、既往歴や所見などの詳しい情報が必要です。

第3回の基礎講座では、右側の大腿内側の肝経上の圧痛が、左側の魚の目で綺麗
に消失しました。
このようなことは、実際の身体を診てみないと判断が付きません。
Sさんの今回のご質問は、通常は、大腿内側の肝経上の圧痛は‘気水穴’で改善しま
すが、「改善しないのはどうしてでしょう?」
と質問されるようなことかと思います。
恐らく、質問には、魚の目のことなどは触れることはありませんし、もし、魚の
目の存在が分かればそこでのクロスチェックで解答が分かるかと思います。

【 Sさんからの再メール 】既往歴・所見の詳細をお伝えせずたいへん申し訳あり
ませんでした。
尾底骨=「経渠」・「足通谷」といったような個別の処置法があるのではと思い、お聞
きしておりました。
先日、その方の2回目の施術を行い、もう一度所見を見直しました。
その結果ですが、鼻骨の痛みはゴーグルが当たるからだけでなく、中学生時代に
ソフトボールの練習中に顔面にボールが激突し鼻骨が左側に曲がるほどの骨折をし
たとのことでした。
うつ伏せでは右の「大杼」が腫れたように盛り上がっており、クロスチェックする
と、触れられなかったのが触れても大丈夫になり、「復溜」をプラスすると圧痛は半
分になりました。
そこに傷治療として解毒処置、「曲垣」(+)に対して「印堂」・「攅竹」・「魚腰」・「小腸
兪」・「上天柱」で、鼻骨の痛みは残り3分の1いくかいかないか位になりました。
翌日電話にて、前回と比べ格段に楽になったとの事でした。
続けてやっていこうと思います。アドバイスありがとうございました。


【 この質問から考える 】胃の気ラインの傷のできた理由が書かれていません。
 胃経と鼻とは関係があることがあります。
 また、傷治療をした場合は、その傷の所見が改善したら他の何かの所見が改善し
ないだろうかというチェックが必要です。
 他の部位の所見が改善したことから、原因などの推測の助けになることがありま
す。
後頭部を何十回と打撲、尾底骨を何度も強打していて、所見が全くないというの
も不思議な感じがします。
 この辺りは、本当にシビアに爪1枚の範囲で取穴すべきです。
また、後頭部を何十回と打撲しているのですから、頸椎所見も診るべきです。
尾底骨を何度も強打していたら、脊柱所見を精査すべきです。
 メマイは、改善していたとのことですが、どの治療で改善したと思われるか推測
してみるべきです。
 また、治療の最初に、メマイが発症した原因を分かる範囲で推測すべきです。
尾底骨=「経渠」・「足通谷」というような個別の処置法があるのでは…とあります
が、…この症状に対してはこの処置…というような覚え方は必要ですが、それに捉
われると根本的なことを見逃すことが多いです。
 基礎講座の時にも最初にお話ししますが、この様な考え方は後回しにして、先ず、
この患者さんの身体全体の関係や状態を観察することが非常に重要です。
 …既往歴・所見の詳細をお伝えせず…、とありますが、これらが無ければ全く治
療方法が推測できません。
 患部に刺鍼する治療法でしたら既往歴や所見は必要ないですが、身体は、何か原
因があって症状を発してきます。
その原因は様々です。
その判断となる材料が無ければ治療できません。

結果的に、患者さんは鼻骨にボールが当たり骨折しています。
最初に、…少し触れるだけで痛みと何とも言えない不快感が現れる箇所があり…
と書かれていますから、そこまでの所見が出るのでしたら、そこで、「鼻骨の所に、
今までに何かありませんでしたか?」と聞くべきだったと思います。
 私達鍼灸師には、医師のような大掛かりな検査器具はないのですから、脉診のレ
ベルを上げたり、問診の技術を磨いたり…と身体の声を聞きだす訓練をすべきと思
います。
 基礎講座などでは、処置法などの記憶に関する部分が重要視され、この症状には
〇△処置を…というようなことに目が行きがちですが、治療前に行う問診や所見の
シビアさなどの方が重要となります。
 ここさえ押さえられれば、この質問者のように、行うべき処置法は自然に決まっ
てきます。

ですから、この様な症例の質問は、原則としてメールなどの文書では受け付けな
いことにしています。
症例の質問は、基本的に講座などで相対したときに受けるようにしています。
 直接相対して質問を受ければ、どのように取穴したかの状態も分かりますし、所
見でも「ここは診た?ここの所見は?」などとどんどんこちらも確認できます。

質問への返信は、文字にすると書き上げた文章は短くても、書き上げるのに相当
な時間と労力がかかります。
そして、この症例には、この場合と、この場合と…というように様々な仮定を考
えなければなりません。
症例に関して質問のある場合には、是非、講座に参加して頂きたいと思います。


【‘基礎講座’参加者からのメールでの質問】
 基礎講座の参加者から、以下のような質問がメールでありました。

「第2回基礎講座の内容について質問があります。気水穴処置について、腋窩リ
ンパ節を切除している場合は上肢に鍼をさせないため、脾経を使う、という説明が
ありましたが、鼠径リンパ節を切除している場合はどのように治療するでしょうか
(下肢には鍼を刺せないという認識でよいでしょうか)。


オンデマンドで受講されている皆さんは、直接質問が出来ませんので、基本的に
講座でお話しした内容についての質問は、通常、参加者全員に関係のある事でした
ら、次回の講座の時に答えるようにしています。
上記の様な質問に対しては、参加者全員に関係のある事柄であり、この様な疑問
を持たれる方も多いと思われますので、次回の基礎講座で答えたいと思います。
 また、メールでの個人的な質問でも、答えが単純で誤解がないような場合には、
個々にメールでお答えしています。

 時には、長く「長野式治療法」・「キー子スタイル」に関わっておられ、その方の
人となりを私も良く存じている方には、恐らくここまでは理解しているだろうと判
断し、それ以後の処置や考え方をお伝えすることがあります。

 どのくらいの需要があるか分かりませんが、症例や治療への考え方などを皆さん
で話し合うような講座、あるいは、集まりが必要なのかナ?…とも考えています。
 何かアイデアがありましたら、ご遠慮なくお送り下さい。
 お待ちしています。

「質問にも、礼儀・作法・TPOがあります」




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