【主訴】
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全頭型の円形脱毛症 |
【現病歴】
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生後1年3ヶ月余に発症。 その後、大学病院で、全頭型の円形脱毛症とのことで、治療。3ヶ月で全頭部が脱毛。 患部へのステロイドの塗布が続くにも拘わらず、脱毛が続き、大学病院でも、再び生えてくるとハッキリした保証はなかったので、ステロイドの塗布は中止している。 |
【その他】
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出産後、母親の体調が思わしなく入退院を繰り返したので、本人は、妻の実家や父親の姉の家で面倒をみて貰う。 生後、1年余に新居を建て、久しぶりに家族がそろって暮らし始める。その2ヶ月後より脱毛が始まる。家族一緒に暮らし始めたときには、母親から、執拗に離れない様子がうかがえた。 発症前に、風邪をひいている。 母親が膠原病に罹患。2歳上の姉がいるが、長女の出産後、本人を妊娠中に強皮症が悪化する。 |
【治療方針】
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◎長野潔先生は、小児鍼は、前腕の大腸経と背部膀胱経に、経絡の流注に沿って歯車鍼をされた。歯車鍼は、行ったところが、やや赤味を帯びるまで行った。
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小児鍼と言えば、「身柱」「命門」。 |
◎ |
全頭型の円形脱毛症は、自己免疫疾患と言われているが、母親が膠原病(自己免疫疾患)に罹患しているので、扁桃処置…「天ユウ」「曲池」 |
◇ |
また、長野先生は、リウマチ疾患に対して、「数脉」の場合は「関元」を使用された。 リウマチ疾患は、自己免疫疾患なので、「関元」は、広く捉えて自己免疫疾患に効果があるのでは…、と考えて、岐子先生は、自己免疫疾患にも使用される。 |
◆ |
妊娠中の母親の体質の影響と考え、妊娠の異常は「膏肓」 |
● |
頭部全体に、小児鍼の長刀鍼で擦過。 |
◎=主に「長野式治療法」 ◆=主に「キー子スタイル」 ◇=「長野式治療法」と「キー子スタイル」の混合治療(考え方も含む) ●=一般に使用されていると思われる治療 |
【治療・経過】
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[初診]マツゲ、眉毛に少し毛がある。前頭部のごく一部分に、ほんの少し毛が残っている程度で、他に頭部には産毛も生えていない。
男児が泣き叫んで治療をさせないので、マジックでマークをして、父親に以下のことをするように依頼した。
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小児の治療は、無理強いをすると、後々、よりやり難くなるので、1〜2回は、小児の思うようにさせている。 |
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・「命門」「身柱」、両側の「膏肓」 … 長生灸のライト(温灸)。 赤味を帯びないときには2回。途中、熱がったら、その時点ではずす。 |
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・「天ユウ」 … 寝てからパイオネックス(セイリンの円皮鍼)を貼付し、爪で数回叩く。 |
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・「曲池」 … 爪楊枝を輪ゴムで10本位束ね、集毛鍼のようにして、少し赤味が帯びるまで軽く突つく。 |
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家では、リラックスできるし、信頼している父親の行うことだったら安心して言うこと聞くので、無理にではなく行ってもらうように指導した。 |
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起きたら取り去る。 |
[第2回:7日後]少し、前頭部にあった少しの産毛が、少し広い範囲で生えてくる。
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父親は、たった一度の治療でほんの少しでも生えてきたので、非常に喜んでいたが、私の方が、こんなに早く効果が出たので驚いたほど。 これから、少しずつ治療に慣れて、もう少し経ったら本格的に…と思っていた。 |
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3歳の姉も一緒に来ていたので、歯車鍼や温灸、集毛鍼など、先に姉にデモンストレーションを行い、姉に少しも痛くないことを話して貰いながら、これ以外には、何もしないと納得させて、少しずつ本人にも行った。 |
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*歯車鍼 *「身柱」「命門」「膏肓」に温灸 *「曲池」に温灸 *頭部全体に長刀鍼 を主として行った。 |
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ようやく少しやらせるようになったので、無理のない範囲で行った。 |
[第3回:10日後]マツゲが少し黒ずんでくる。 [第4回:7日後]産毛が少し黒ずんでくる。 [第5回:7日後]産毛が全体に生えてくる。 [第6回:13日後]全体に生えてきた産毛が伸び、ツムジが分かるようになる。 [第7回:22日後]更に毛が伸び、ツムジがハッキリとしてくる。「関元」を加える。
「関元」は、集毛鍼で、少し赤味を帯びるまで行い、温灸を加える。 [第8回:35日後]全体に毛の量が増え、逆に、一部に脱毛があるような感じになってくる。
以後、[第9回:14日後]、[第10回:28日後]、[第11回:20日後]と治療。
写真は、第11回目の治療のときのもの |